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弊社のサービスは月額料金制で提供していますが、新型コロナウイルスの影響でサービスを提供することができなくなった場合、利用料金を返金しなければならないでしょうか?

弊社のサービスは月額料金制で提供していますが、新型コロナウイルスの影響でサービスを提供することができなくなった場合、利用料金を返金しなければならないでしょうか?

2020.4.24

この場合、まずは利用規約や契約書を確認する必要があります。
 
■利用規約や契約書などで、サービスを提供できないときの払い戻しについて定められているとき
 
払い戻し等の規定がある場合には、当該規約や契約書に従った取り扱いがされることになります。
したがって、利用規約や契約書の規定に従って対処していただくようお願いいたします。
 
なお、当該規約や契約書に「不可抗力の場合にサービス提供者側は責任を負わない」という趣旨の規定がなされていることがしばしばあります。この場合には、今回の新型コロナウイルスの影響が「不可抗力」といえるのかが問題となります。
休業要請をされておらず、自主的にサービスの提供を停止した場合には、「不可抗力」と認められることは難しいでしょう。
また、休業要請がなされ、これに基づきサービスの提供を停止した場合であっても、休業要請はあくまで単なる「要請」であって「強制」ではありませんので、「不可抗力」ではないと考えられます。実際、都道府県によっては休業要請に基づき営業を自粛した店舗に対して一定の売上を補償するための給付金が支給されるような制度設計がなされつつあることも考慮すると、やはり「不可抗力」に該当する可能性は低いと考えられます。
もっとも、サービスの提供者においても利用者の安全に配慮する必要があるため、休業要請の対象となっている事業で、実際においても、密閉空間か否か、過度に人が密集することを避ける余地がないかどうか等の様々な事情を考慮したうえで、安全にサービスを提供することが不可能である場合には「不可抗力」に該当する可能性もあります。
休業要請に基づくサービスの提供の停止が不可抗力によるものであるかはケースバイケースであり、一概に記載することは困難ですが、「不可抗力」に該当する余地は少ないと考えていただく方がよいと思われます。
 
■利用規約や契約書などに規定がないとき
 
利用規約や契約書などに規定がない場合には、民法に従って考えることになります。
 
① サービス提供者が自主的にサービスの提供を停止した場合
一般的なサービスの利用契約においては、利用者には利用料を支払う義務があり、サービス提供者側にはサービスを提供する義務があります。そのため、サービスの提供を停止するということは、サービス提供者側がその義務を履行しなかった(サービス提供者側の債務不履行)ということになります。
この場合には、サービスの提供を停止したことについて、サービス提供者側に帰責性があるかが問題となります。サービス提供者が自主的に停止した場合には、利用者にサービスを提供することができたにもかかわらず提供しなかったということになり、サービス提供者側に帰責性があるといえます。
したがって、サービス提供者は、自主的にサービスの提供を停止した場合には、利用者に対して損害賠償責任の履行として利用料相当額の返金が必要ということになります。
 
② サービス提供者が休業要請に従ってサービスの提供を停止した場合
この場合にも、サービスの提供を停止したことについて、サービス提供者側に帰責性があるかが問題となります。
まず、サービス提供者側に帰責性がない場合でも、今回の新型コロナウイルスのような事態では、利用者側にも帰責性がないのが通常です。このような当事者双方に帰責性がない場合について、民法536条1項では、利用者側は「反対給付の履行を拒むことができる。」と規定されており、すなわち、利用者は利用料の支払義務を負わないということになっています。したがって、サービス提供者側に帰責性がないとしても、利用者側にも帰責性がない場合は、利用料を返金する必要があるということになります。
他方、サービス提供者側に帰責性があった場合には、自主的にサービスの提供を停止した場合と同様、利用料相当額を返金する必要があります。
したがって、結論としては、休業要請に基づいてサービスの提供を停止した場合、サービス提供者側の帰責性の有無にかかわらず、利用者側に帰責性が認められない限り、サービス提供者側は利用料相当額を返金する必要があるということになります。
 
③ まとめ
以上のとおり、今回の新型コロナウイルスの影響を受けてサービスの提供を停止するにあたっては、サービス提供者側に帰責性が認められるか否かを問わず、利用料の返還が必要ということになります。

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