営業時間 / 10:00 〜 17:00
定休日 / 土・日・祝日

依頼者様の人生・会社経営の最高のパートナーでありたい。

依頼者様の人生・会社経営の最高のパートナーでありたい。

業績が厳しくなってきたため社員を整理解雇したいのですが、問題はありますか?

業績が厳しくなってきたため社員を整理解雇したいのですが、問題はありますか?

2020.5.2

■整理解雇について
 
経営状態が悪化していることを理由とする解雇は、いわゆる「整理解雇」となりますが、ハードルが相当高いものです。普通解雇(能力が低いことなどに基づく解雇など)も難しいのですが、一般的に整理解雇は普通解雇よりも高いハードルを超えることが必要となります。
 
■整理解雇の要件
 
整理解雇は、判例上、以下の要件を満たした場合にのみ法的に有効とされています。
 
①人員削減の必要性があること
②解雇を回避するための努力が尽くされていること
③解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
④事前に使用者が解雇される者へ説明・協議を尽くしていること
 
以下、説明を加えます。
 
①は倒産必至という状況でなくとも、高度の経営上の困難から当該措置が要請されるという程度で足りるとされています。
最近では経営合理化や競争力強化のために行う人員整理でも、①の要件を充足していると判断した裁判例も増えています。
 
②は配転、出向、希望退職の募集などの他の手段によって解雇回避の努力をしたことが求められます。
もちろん、専門職などであれば配転や出向は難しいケースが多いように思われますが、可能性がある場合にはやはりそういったことを試みるべきということになります。
 
③は客観的で合理的な基準を設定し、これを公正に適用して人選をする必要があります。
基準としては、勤務成績や企業貢献度(勤続年数など)、経済的打撃の低さ(別企業での再就職が容易であるなど)等に基づいて設定することになります。
整理解雇に見せかけて特定の問題社員を解雇するようなケースでは、この要件を満たさないと判断される可能性があります。
 
④は整理解雇の必要性とその時期・規模・方法について納得を得るために説明を行い、さらにそれらの者と誠意をもって協議したことなどが必要とされています。
 
以上の基準は画一的なものではなくケースバイケースではありますが、経済的補償や再就職支援措置などによっても、各要素が補完されて解雇が有効となる可能性もあります。
 
しかしながら、基本的には上記①~④を満たすことが必要となりますので、ハードルの高さはお分かりいただけるかと存じます。
 
■自主退職
 
このため、基本的には自主退職していただくのがベストではあります。
業績が厳しいのであれば、休業させて休業補償を支払い、業績が回復するまで様子を見るということも一つの手段です。
従業員側としても、御社に業績回復の見込みがなく、他により給料の良い職場が見つかれば他社に転職することも検討するでしょうから、御社とその従業員の双方にとってWIN-WINの解決となる可能性もあります。
 
■雇用調整助成金の活用
 
また、休業させた場合には雇用調整助成金を活用できる可能性もありますし、特に新型コロナウイルスの影響に基づく休業の場合には、助成額も増額されています。
もっとも、助成金が支給されるまでにタイムラグがあり、キャッシュフローは悪化してしまうでしょうから、どのような手段を採ることができるかは資金状況をみて検討することが必要と思われます。
 
■「不当解雇」に注意
 
普通解雇や懲戒解雇においてもそうですが、整理解雇においても、法律上「有効」なものでない場合は、対象となった従業員から「不当解雇」と主張され、法的なトラブルになる可能性があります。
この場合、多額の解決金や賠償金を支払わないといけないことになりますので、会社にとっても大きなリスクとなります。
解雇をする場合には法的な観点から慎重に検討する必要がありますので、くれぐれもご注意ください。
 
なお、従業員が自主退職を申し出てきた場合には、後日争いにならないよう、自主退職をしたことの証拠として退職届をきちんと受領しておくことも重要です。

よくある質問一覧へ

TOP