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どのような場合に賃料の増額・減額の請求が認められますか?

どのような場合に賃料の増額・減額の請求が認められますか?

2020.5.11

法律上、建物所有目的の借地や借家の賃料(地上権における「地代」を含みます。)や、建物の賃貸借については、賃料の増減額請求が認められています(借地借家法11条、32条)。もっとも、賃料の増額については、当事者間の契約において、一定期間は賃料を増額しない旨の特約などをすることは可能であり、当該特約は原則として法律上も有効とされています(借地借家法11条1項ただし書き、32条1項ただし書き)。そのため、賃料の増額請求を検討されている場合には、まず、このような特約が規定されていないかどうかについて賃貸借契約書を確認するようにしましょう。
(賃料の減額請求については、賃料を減額しない旨の特約は無効と解されますので(最判平成16年6月29日等)、上述のような制限はありません。)
 
■賃料増減額請求が認められる要件
賃料の増減額請求が認められる要件としては、従前の賃料が「不相当」になった場合とされています(借地借家法11条1項本文、32条1項本文)。
そして、賃料が不相当であるか否かの判断においては、法律の規定上、以下の事情が考慮されることになります。
 
①経済事情の変動
 ①-1公租公課の増減
 ①-2借地や借家の不動産として価格の上昇又は低下
 ①-3その他の経済的事情の変動
②近隣相場の変動
 
したがって、従前の賃料が不相当であるかの判断においては、現在の「相当な賃料」を算出し、比較することによって判断することになります。
もっとも、実際に賃料が不相当であるか否かの判断においては、上記の事情に限定されることなく、土地価格の推移の状況、賃料に占める純賃料の推移、当該賃貸借契約の内容やそれに関する経緯、賃料改定の経緯、契約成立からの経過期間など、請求時の事情のみならず、契約成立時の事情や契約成立から請求に至るまでの事情を総合的に考慮されることになります。
 
■賃料増減額請求の方法
賃料増減額請求を行う方法としては、契約の相手方に対する意思表示をする必要があります。例えば、借主が貸主に対して、賃料を減額するように書面等を用いて通知する方法が考えられます。
そして、意思表示をする際には、相手方に対して具体的な相当な賃料を明示することは法律上要求されておらず、値上げ又は値下げの要求や要請を行うことで足りるとされています。
なお、次に述べるように、増減額の請求の意思表示がいつの時点で相手方に到達していたかは重要な事実となりますので、無用な争いを生むことのないよう、差支えがなければ内容証明郵便で意思表示を行うことをお勧めします。
 
■賃料増減額請求の効果が生じるタイミング
賃料増減額請求の効果は、賃料の増減額に関する意思表示が相手方に到達した時点で生じることになります。そのため、仮に賃料が「不相当」になっていた場合であっても、意思表示の到達以前まで遡り、賃料の増額を求めたり、減額を求めたりすることはできないことになります。
なお、反対に、意思表示の到達時点で効果が生じていることになりますので、例えば「相当」な賃料について2年間裁判で争った後に従前の賃料が「不相当」であったという判断がなされた場合は、意思表示の到達時点から遡って過不足の賃料を精算する必要があります。また、その過不足の賃料に対して年1割の利息を付す必要があります(借地借家法11条2項、3項、32条2項、3項)。
 
事業を行う方におかれましては、店舗やオフィスといった賃料などの毎月の固定費を節減できることは長期的なメリットになり、今後の設備投資や事業拡大のための原資にすることが可能になります。賃料が長期間見直されることなく放置されている場合などには、賃料が適正な金額であるかどうかを確認することをお勧めします。

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