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依頼者様の人生・会社経営の最高のパートナーでありたい。

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完全歩合制の労働者から、コロナの影響で営業成績が上がらず最低賃金を下回るので、休業扱いにして休業補償を支給するよう求められており、その従業員は会社を勝手に休んでいます。会社としてはこのような従業員の要求に応じる義務はありませんよね?

完全歩合制の労働者から、コロナの影響で営業成績が上がらず最低賃金を下回るので、休業扱いにして休業補償を支給するよう求められており、その従業員は会社を勝手に休んでいます。会社としてはこのような従業員の要求に応じる義務はありませんよね?

2020.5.22

一部リスクがありますので注意が必要です。
 
■完全歩合制について
 
まず、経営者の方が誤解されているようですが、雇用している社員に対しては、通常イメージされる「完全歩合制」(売上ゼロ=賃金ゼロなど)というのは違法です。
すなわち、雇用している以上は「最低賃金法」の適用がありますので、「完全歩合制」といってもそれを下回る賃金しか支給しない場合は、最低賃金法に違反してしまいます(最低賃金法第4条1項)。
このため、営業成績が上がっておらず、計算上算定される給与額が最低賃金額を下回ってしまうのであれば、「完全歩合制」といえども、会社は最低賃金額以上の金額を支払う義務を負います。
仮に、これまで最低賃金未満の金額しか支払ってこなかった場合は、不足分を支払う義務がありますのでご注意ください。
(なお、賃金等の請求権の消滅時効は、従前の「2年」から「3年」に変更されています(労働基準法の一部を改正する法律)のでご注意ください。)
 
■休業補償について
 
休業補償は会社都合で休業させる場合には支払う義務がありますが、従業員都合で休む場合には不要です。
したがって、会社の業務命令にもかかわらずその従業員が勝手に休んでいる場合は、休業補償を支払う必要はありません。
 
■業務命令違反
 
また、会社は従業員に対して命令をして業務に従事させる権利があり、従業員はこれに従う義務があります。
その従業員は会社の業務命令に違反していることになりますので、会社の就業規則における懲戒事由に当たる可能性があります。
このため、場合によっては懲戒処分を検討したり、懲戒処分をせざるを得なくなることを告げて出社を求めることも検討すべきです。
 
■感染リスクについて
 
ただし、注意が必要なのは、会社としては従業員が安全に働ける環境を整える義務があることです。
会社が十分な感染予防対策をしておらず、万が一従業員がコロナウイルスに感染して損害が発生した場合(死亡や後遺障害が発生した場合など)には、会社としては安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。
会社としては、現在の政府の方針等に従いながら、従業員が安全に働けるよう環境を整える必要がありますので、くれぐれもご注意ください。

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