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新型コロナウイルスにより売上が減少しました。賃料の減額を請求することはできますか?

新型コロナウイルスにより売上が減少しました。賃料の減額を請求することはできますか?

2020.5.11

建物所有目的の土地の借主や建物の借主は、貸主に対して、賃料(地上権における「地代」を含みます。)の減額請求をすることが認められています(借地借家法第11条1項、32条1項)。
もっとも、賃料の減額が認められるためには、従前の賃料が「不相当」になっていることが必要なります(詳しくは、「どのような場合に賃料の増額・減額の請求が認められますか?」をご確認ください。)。
 
■新型コロナウイルスの影響で売上が激減したことを理由に、賃料の減額請求は認められるか
賃料が「不相当」であるかの判断においては、「経済事情の変動」が考慮要素とされており、新型コロナウイルスもその一つの事情として考慮されることになります。新型コロナウイルスが日本の経済事情に影響を与えると考えられるため、長期的に見ればその後の経済事情の変動を踏まえて賃料の減額が認められる可能性は十分にあると考えられますし、直近だけを見ても既に「経済事情の変動」が発生しているとみる余地もありますので、裁判所においても賃料の減額を認める可能性はあります。
ただ、賃料が「不相当」かどうかの判断については現時点では裁判所においても判断材料が少ないと考えられるため、法的な面から強制的に賃料の減額を認めてもらうには時期尚早であると考えられます。
 
■賃料減額のためにできること
上述のように、現状において新型コロナウイルスの影響により売上が激減したことを理由に賃料の減額請求が認められるかは定かではありません。そのため、各事業主様におかれましては、賃料減額のために今できることをしておくことが重要になります。
以下では、今できることの例として、何点かご紹介させていただきます。
 
①賃貸借契約書を確認する
不動産を借りる際には、一般的に賃貸借契約書が作成されます。そして、当該契約書には貸主と借主との間の約束事が明記されています。まずは、当該契約書に、賃料の減額請求について減額の条件などが規定されていないか確認するようにしましょう。
 
②貸主に対して賃料減額請求(減額の要請や交渉の申入れを含む。)を行う
賃料減額請求の効果は、借主から貸主に対して賃料減額の意思表示を行うことにより生じます。また、その賃料減額は、過去に遡ることができず、将来の賃料についてのみ効果が生じることになります。
そのため、賃料減額の効果を生じさせるためにも、貸主に対して、賃料減額の請求や賃料減額交渉の申入れを行っておくことも一つの手段です(方法については「どのような場合に賃料の増額・減額の請求が認められますか?」をご確認ください)。
賃料減額の要請や交渉の申入れを行ったとしても、新たな賃料が決定するまでの期間においては、従前の賃料を支払い続ける必要があります。仮に当該賃料の支払を怠った場合には、賃貸借契約を解除されるリスクもありますので、注意が必要です。
なお、賃貸借契約の解除は、簡単に言えば貸主と借主の間の信頼関係を破壊するほどの重大な義務違反がなければできないことになっています(信頼関係破壊の法理)。このため、1回の賃料支払の遅延だけでは解除は認められず、概ね3か月分程度が目安になると考えられています。もっとも、今回の新型コロナウイルスの影響では、通常の企業努力をしていても賃料支払の遅延を免れることができないとも考えられ、したがって3か月以上の滞納でも信頼関係を破壊していないとみる余地もあります。この辺りは実際の裁判を待ってみない限り確答は困難ですが、ただ、どうしても家賃の支払いが困難な場合には、貸主に対して詳細に事情を説明し、賃料の支払い猶予などを誠意をもって申し入れておくことで、信頼関係が破壊されていないと評価する事情の一つにもなり得ますので、このような賃料の支払い猶予の申入れも検討していただければと思います。 

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